ヒツジと同じくらい、ペンギンも大好きなヒツジです。
ペンギンが出てくる映画と聞いて観に行ったら、予想以上に拗らせた心臓を抉られました。
映画「ペンギン・ハイウェイ」とは?
2018年8月17日公開の映画で、森見登美彦氏原作の同名小説が原作です。
監督は石田裕康氏、制作はスタジオコロリドとなっています。
あらすじ
小学四年生のアオヤマ君は、毎日世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。
利口で日々努力を怠らず勉強をしている彼が一番興味を持っているのは、歯科医院の『お姉さん』である。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミステリアス。
そんなお姉さんの研究も続けていたある日、アオヤマ君の住む街に突然『ペンギン』が現れた。
海のない住宅地に突如現れた『ペンギン』の謎を解くべく研究していると、アオヤマ君はお姉さんの放り投げたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃してしまう。
ポカンとするアオヤマ君に、お姉さんは笑顔で言った。
「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」
とまぁ、こんな感じの、少年と謎のお姉さんの、忘れられない夏のお話です。
前情報なしで見たこともあり、突然ペンギンが現れたりするのでファンタジーだと思って最初見てたらなんか違うなぁと感じて。
調べたら原作小説は第31回日本SF大賞とってるんですね。やっぱりSFファンタジーだったか。
個人的なみどころ
とりあえず、ネタバレしない程度の感想と見どころをとりあえず。
ペンギンがひたすらに可愛い
もうこれは。
ペンギン好きなら見て損はないくらいに、ペンギンめっちゃ出てきます。なんならポスターの通りに大行進もあるよ。
どアップがちょう可愛くてハワハワしました。
映画では一番のキーになる役割ですからね、ひたすら画面が可愛くてたまらんです。
私もコーラの缶投げてペンギンになる瞬間みたい。やりたい。
愛すべきキャラクターばかり!
利口でちょっとマセてる主人公・アオヤマ君がとってもいいキャラクターです。
お姉さんとおっぱいについて真面目に考えてるんだよ。ちょう可愛い。
そしてそんな彼と、謎のお姉さんのやりとり、距離感がとてもいい。
お姉さんがアオヤマ君を子どもだと思って甘やかしつつも、信頼している感じがとくに。
あとウチダ君がいいキャラなんだよなぁ。あのポジションは最高。
恋には少し届かない、少年が大人になる瞬間
少年と大人のお姉さんなんて、ちょっと甘酸っぱいイメージがしなくもないんですが、少し違うんですよね。
ひと夏の恋、というには少し届かない。
でも、なんだかノスタルジックで、ふとした時に思い出したくなるお話でした。
ネタバレありの感想を
ここからはストーリーの核心に触れながらの感想です。
点と点が繋がっていく快感がたまらん!
街中にペンギンが現れたと同時くらいに、アオヤマ君と同じくらいかしこいハマモトさんが見つけたのは、宙に浮いている水の球体《海》。
次にアオヤマ君の研究仲間のウチダ君が見つけたのは、街の水路がぐるりと一周しているという真実。
そして新しく現れた、ペンギンを食べてしまう怪物《ジャバウォック》。
謎を見つけては検証し、ささいな会話がどんどん繋がっていくところは、まるでミステリー小説の謎解きを読んでいるような快感があります。
そして導き出されるのは、さよならという寂しい現実。
アオヤマ君が泣いてしまうシーンは、ジーンときてしまった。
しかし、これ絶対アオヤマ君は性癖を拗らせると思うんだけど。。。
我に返って考えると、、、
観終わった後、少し冷静になって考えると、オチとしては定番というか、ありきたりのようにも思えます。
でも、だからこそなんでしょうね。
このノスタルジックで、切なさがこみ上げる、気持ちの良さは。
あとは魅力的な人物たちのやりとりのおかげもあります。
気持ちよく白波が引いていくような、感傷に浸れる映画だと思います。
エンディングで流れる宇多田ヒカルのハスキーな「Good bye, Good night」という歌声が、かすかな余韻を引っ掻くように、さらに引き摺っていくので、すごくズルいです。
それでもペンギンは可愛い
お話としても最高ですが、映像としてもやっぱりいいです。
私もお姉さんみたいにたくさんのペンギンを従えて、「いけぇ、お前たちー!」ってやりたい。
そしてそれにしっかり答えるペンギンたちよ。たまらんなぁ。
あと、ペンギンたちが海の空を切り裂いていくシーンは、とても気持ち良い。
空を飛ぶペンギン。
なんであの役割がペンギンだったのかは分からなかったけど、可愛いのでどうでもいいです。
原作も読むべき!らしい
心のカサブタを引っ掻かれたような感傷が気持ちよかったので、パンフも買いました。
原作者コメントを見るとやはり都合上、映像化されていないシーンがあるようです。やはり原作も読むべきですね。
また、このお話は原作者が「夢想していたことを小説にしたいと思って書いた」らしいので、お姉さんの存在には納得です。
あんな、お姉さんは、いない!!!!
いたらきっと今以上に心を拗らせた人間になってる気がするよ。
映画「ペンギン・ハイウェイ」の告知を見たとき、私は一つの疑問を持っていました。
『どう見ても夏休み映画っぽいのに、なんで夏の終わりに公開なんだろう』と。
実際に見てみて、その謎は解けました。
これは、夏休みの前でも途中でもなく、夏の終わりに観るべき映画です。
ひと夏の夢が終わる、その切なさを巻き込んで見るからこそだと感じました。
夏が終わってしまう前に、ぜひ劇場で心を抉られてきてください。
ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
森見登美彦 著
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